筆・墨・紙・硯の四つの文房具は「文房四宝」と呼ばれています。東洋の文化にとって実に重要で、また大きく貢献してきた意味でこう表現されています。筆の発祥は中国古代とされています。「律」という文字が書かれた殷の時代の甲骨片が発見されました。
日本の現存最古の筆は、奈良県正倉院所蔵の天平筆と雀頭筆。1200年余りの歴史を経ていることになります。藤原時代にはならで仕掛けを使い造筆。徳川時代に入って、その中心は江戸に移っていきました。
墨の起こりもやはり中国で、古代中国の甲骨文に墨書や朱墨のあとが発見されており、殷の時代に発達した甲骨文字と時を同じくして使用されたと考えられています。
日本には推古天皇の頃、朝鮮・高句麗から僧侶曇徴(どんちょう)と法定(ほうじょう)が伝えたといわれています。材料は現在の墨と同じく煤が使われていました。慶長年間(1596年〜1615年)には古梅園の始祖松井道珍が良質の油煙墨をつくりました。
硯も発祥地中国で、固まった隅を磨盤で砕き使っていました。ある時、水を固まりにつけて磨盤でゆすってみたら、粗いけれど墨はおりたのです。それ以来、先人たちは吸水性がなく表面がざらざらした、瓦、陶磁器、青銅など、あらゆるものを使いました。今では石が一般的に使われています。美術工芸品として驚くほどの値が付く名硯もあります。
